椎間板ヘルニアは遺伝するのか?

結論からお話しします。
「椎間板ヘルニアと遺伝子的な関係性はある」と報告されています。

家族に椎間板ヘルニアの人がいる遺伝子の関係上、家族に椎間板ヘルニアの方がいればご自身もヘルニアのリスクは他の人より高い可能性があります。

遺伝子が似ているという事は椎間板の丈夫さやクッション性の高さが似ている可能性があります。つまり、ご家族の中に椎間板ヘルニアを経験されている方がいる場合、その家族の方と同じように衝撃や負荷をかけた場合は椎間板ヘルニアになる事が多いという事です。
勿論100%という訳ではありません。ただ、可能性がありますというお話です。
しかし、家族に椎間板ヘルニアを経験した人がいない場合でもなる場合は多いに考えられます。

 

遺伝子ではなく生活習慣の場合も…

両親のどちらかが椎間板ヘルニアを患っている場合、遺伝子も疑われるのですが、身体の使い方や生活習慣などが親に似てくる場合が多々あります。

すると、本来は腰が丈夫な遺伝子ではあるものの、生活習慣によって腰に負担がかかってしまい結果、腰痛や椎間板ヘルニアなどを発症してしまう場合があります。

むしろ遺伝より生活習慣で椎間板ヘルニアになる人の方が多いのではないでしょうか?

 

腰に負担がかかる生活習慣とは?

腰に負担がかかる生活習慣は、

  1. いつも同じ姿勢で座っている
  2. しゃがまずに前屈で対応する事が多い
  3. 身長に合った椅子や家具などを使っていない
  4. 片側の肩にいつも荷物を持ってしまう
  5. ソファなどで腰が曲がった姿勢をとる事が多い

など。ざっくりですがこんな感じです。
そのリスクを少しでも少なくするにはどうしたら良いかをお話ししていきます。

対処法を順番に解説しますね。

 

①いつも同じ姿勢で座っている場合

何故負担がかかっていると言えるの?
仕事をしている人はこの①の場合が多いと思います。 同じ姿勢を続けている場合、同じ身体の部分に負担をかけ続けます。すると、細胞が死んで、血流が悪くなるという状態が出てきます。

座った状態で常に腰が緊張して(力が入って)いると、腰の筋肉が固くなり血流が低下します。血流が低下してくると筋肉に疲労が溜まり始めます。血流が悪くなっているので疲労物質も溜まる一方で流れにくくなっています。

そこに傾いた姿勢や足を組んで背骨のバランスを崩したりという事になると筋肉で支えられなくなり、骨や椎間板に負担がかかり始めます。
その状態が習慣的に続くと徐々にバランスを崩していき、「傾いた背骨」(俗にいう「側湾症」)になり、徐々に椎間板ヘルニアの危険性が高まってきます。(側湾症の状態になっても気づかない人が大多数です)
その状態で急に立ったり、振り返ったり、前屈みしたりなどの動きが入るとぎっくり腰になったり…。それだけで済めば良いですが、最悪圧力に椎間板が耐えられなくなり、椎間板ヘルニアになったりします。

余談ですが、細胞が息出来ない圧迫状態で何分で死滅するかご存知ですか?答えは約20分で死滅すると言われています。
「同じ部分に負担をかける」というのは身体にとって感じている以上に大きいものです。
例えば、座った状態で片足を伸ばしてください。膝をピンとした状態です。
というよりその状態を2〜3時間続けなさいと言われた場合、一般的に無理だと思います。

この上記の例は足で行いましたが、座り続ける場合、健康的な人はあまり疲労感などを短時間で感じる事は少ないかも知れませんが、これが腰や背中で同じことが起きています。
ただ、座っている場合、無意識に身体が負担の位置を微妙に変えてくれます。無意識に身体を動かしたりして細胞が死滅するのを本能的に回避しているんです。

予防法&解説

この場合は座布団やクッションを1つ準備してください。
使い方は、午前中は椅子にクッションを敷かずに、午後はクッションを敷いた状態で椅子に座って下さい。若しくは1時間〜2時間毎にクッション有る、無しの状態を交互に行ってください。

理由は、同じ部分に疲労を溜めたくないからです。身体にかかる負担が別の部分にいくと、今まで負担がかかっていた部分に血液が流れ始めて疲労物質が流れていきます。
すると、また回復して負担をある程度までかける事が出来るようになります。

なので、クッションで少しでも負担のかかる場所を変えてあげると腰への負担が軽減、延いては椎間板ヘルニアのリスクを下げる手伝いをしてくれます。

以前、こんな実験がされました。
図書館で座席の椅子を統一した場合と、1つ1つ形の違う椅子を準備した場合どちらが長く図書館に滞在したか?というもの。

答えは1つ1つ形の違う椅子を準備した方が滞在時間が長かったそうです。
しかも、図書館内のカメラを見ていると1回離席して本を変えた人が同じ席に座ると思いきや、隣の席など違う席に座る事が多かったそうです。
本能的に身体の同じ所へ負担を避けているという結果が得られたとその実験では解説していました。

 

②しゃがまずに前屈で対応する事が多い場合

負担は1.5倍
普段の生活でつい下にある物を前屈して取ったりしませんか?
少なくとも昔の私はそうでした。結果腰を痛めたのですが…。
下にある物をしゃがまずに取ると腰への負担は増大します。考えてみると当然と思うかも知れません。では具体的な数字でお話ししますね。

お辞儀するときの腰への負担ってどれくらいか考えた事ありますか?

立った姿勢から、お辞儀(約45°)すると椎間板へかかる負担は立った姿勢の約1.5倍になります。更に前屈(90°)位までいくと立った状態の約3倍程の圧力が椎間板にかかると言われています。

想像してほしいのですが、前屈したときの腰の骨の状態です。
前側の圧力が高まり、背骨側の圧力が減ります。とても不安定な状態です。
ここに変な圧力がかかったり、腰より上の骨が傾いていたら椎間板ヘルニアになる可能性は更に上がっていきます。

このお辞儀や前屈を仕事や家事などの日常で何回も繰り返してしまうと腰への負担は考えられない程大きくなっていきます。この負担を可能な範囲で生活習慣の中で減らしていきたいと思います。

対処法

題名にもありますが、前屈せずに「しゃがむ」ようにしてください。
しゃがむ事で腰への負担はかなり減ります。日常の生活習慣を「しゃがむ」に変えてあげると痛みが軽減する場合もあります。
「膝が痛くなるのが心配」という方もいらっしゃると思います。そんな時はしゃがむ時に膝の裏側に手をあて、その手を挟むようにしゃがむと膝の負担は軽減します。

私は大学生の頃、慢性腰痛でしたがこの膝を使う意識でかなり腰の痛みが楽になりました。
この②の場合の人は腰に頼り過ぎている為、他の身体の部分を使うように意識したらかなり軽減される場合が多いです。

実際、私は身長が高いのですが、学生の頃しゃがまずに前屈で対応する事が多かった為、腰痛に悩まされました。
しゃがむ意識をしたり、膝を使うようにしたら腰の負担がかなり軽減し痛みは減りました。何気なく暮らしている中で少しの意識で変わるので試してみてください。

 

③身長に合った椅子や家具などを使っていない

何故家具などが「腰」に関係するのか?
例えば、椅子に座った時に足が下につかずに浮いている場合は上半身が前屈みになったり、後ろへ反り過ぎたりします。なので踏み台などを準備して足がキチンと着くようにしましょう。膝が90°くらい曲がる高さがちょうど良いのでそこに調節出来れば良いです。

そうすると腰への負担は軽減出来ます。「楽だな」と思える高さが必要なので踏み台の高さの調節をしてください。

このように高すぎる場合は基本的には踏み台などを準備すれば事足りるシーンは増えます。

しかし、問題はご自身の身長が高くて、キッチンや洗面台が低い場合。どうしても前屈みなどの姿勢の回数は増えます。

前屈みの腰への負担は先ほどお話ししましたが、なかなか負担は大きいです。そして家事をしている場合は、前屈みの姿勢をある程度の時間継続するので一瞬のお辞儀などより負担はかなり大きいと言えます。

痛みが無いときはそれほどではありませんが、痛めた時にはかなりの苦痛です。

キッチンや洗面台などご自身の身長の高さに合わせるのはかなり難しいと言えます。賃貸の場合は高さを変える訳にも行きませんし。

対処法

ご自身の身長より低い場合は膝を曲げる、若しくは少し足を開いて腰を低い位置にする。
そうする事で前屈みにする角度は減らせます。結果的に腰を保護する事に繋がります。
足を開くのはなかなか日常生活では慣れないと思います。なので膝を曲げるでも結構です。少しずつ慣れてください。

私も身長が高い方なので(188cmです)キッチンや洗面台で足を開いて腰の位置を下げてという事があります。他人から見ると「何しているんだろう?」「ストレッチ?」と思われるかも知れませんが、腰の健康を考えればそんな事どうだっていいと思えてしまいます。(さすがに外では可能な限り膝を曲げるなどで対応しています)

 

④片側の肩にいつも荷物を持ってしまう

気づいたらこっちの肩に…
つい習慣でいつも決まった片側に荷物を持って出かけてしまう事も多いと思います。
しかし、その状態が続くと、肩が傾き、背骨がも傾き、骨盤も傾き、そんな負担を日常生活でかけ続けると腰の骨や首の骨が傾き椎間板ヘルニアになったりしてしまいます。
少なくとも片側に偏っていると椎間板ヘルニアになる確率を上げてしまいます。

片側に荷物をかけた状態で姿勢を鏡で見てみてください。きっと傾いていると思います。
もし、傾いていなかったら今度は荷物をおろしてください。傾いていませんか?

対処法

逆側で持つようにしてみてください。

例えば行きは右、帰りは左。というように決めておくと良いと思います。
最初は逆側で持つと違和感が強く、気持ち悪い感じになると思います。
しかし、1ヶ月過ぎて続けているとだんだんと違和感は無くなってきます。本当にこれは慣れが必要です。根気よく続けてみてください。

私自身、整体を始める前は右肩にばかり荷物を持っていました。
するとある時、鏡を見て肩が上がって傾いている事に気づきました。
右で持つので力を入れて右肩だけ緊張している状態です。背骨も同じように曲がってきました。
それから左肩で持つように心がけて最初は気づかないうちに右にかけている事も多々ありましたが、1ヶ月を過ぎた頃には右に荷物をかけても左に荷物をかけても違和感が全く無くなりました。3、4ヶ月を過ぎた頃から肩の傾きも減ってきて、背骨の傾きもさほど気にならなくなりました。
これは根性が必要です。頑張ってみて下さい。

頑張った先に痛みが出ている人は軽減の要因になったり、痛みの出ていない人はリスクの低減になります。今、この瞬間は逆側は気持ち悪いかも知れません。ですが、未来で腰痛や首痛で悩むよりは良いと思います。未来の快適を選んでみる事をおススメします。

 

⑤ソファーなどで腰が曲がった姿勢をとる事が多い

自宅でソファーなどに座る機会もあると思います。疲れた時などはダラ〜っとしたいですよね。リラックスするには良いと思います。四六時中姿勢に気をつけているのは無理があります。リラックスは必要なのでそこまで良い姿勢でいなさいとは言いません。

ただ、そこで気をつけてもらいたい事があります。
ソファーに座ってダラッとした時、よく腰や背中の後ろに空間が出来ていませんか?
空間が出来ると背骨が重力に負けて曲がってきます。そうすると背骨が「ノ」の字を描き始めて椎間板内の圧力が内臓側が強く、背中側の圧力が弱い状態になって髄核が飛び出しやすくなります。習慣化してしまうとヘルニアになる危険性は日々高くなっていきます。

なので、少しでもその危険性を下げていきたいと思います。
ダラ〜っとした時に腰や背中側に出来た空間に詰め物をしてもらいたいです。要は背中とソファーの間を埋めるという話です。
クッションやバスタオルでも何でも良いです。しっかりと空間を埋めて姿勢が悪くなりすぎないように注意してください。ストレッチポールなどをお持ちの方はダラッとする前後にストレッチポールで整えたらなお良いです。

人間にはリラックスは必要です。力を抜くときが無くては疲れ過ぎてストレスが溜まってそれこそ他の病気にもなりやすくなってしまいます。無理しないでください。

長々と書いてきましたが…
一人でも多くの方が快適な生活を手に入れてほしいと思います。
上記に書いた以外も「こんな時どうしたら良いの?」など対応策に困る事が生活の中で出てくると思います。

そんな時は私達プロにご相談ください。餅は餅屋です。
一人で考えるより、直接聞いた方が答えは見つかりやすいと思います。
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神奈川カイロプラクティック整体院
前内 洸介